2005年6月
このページは、天野画廊の画廊主・天野和夫の、きわめて個人的な出来事を綴ったものです。
画廊の仕事が、一見個人的であるにもかかわらず、社会的な機能を果たしているありさまを、
おわかりいただけるかと思います。
自他ともに、プライバシーには慎重に配慮いたしますが、うっかりと逸脱している場合は、すみ
やかにお叱りのお言葉をお願い申し上げます。 天野画廊 天野和夫
ブログ風のこの「独り言」を書きはじめて1年になる。ただの日記に終わらないように、画廊の仕事
に関係のある出来事を、そのつど書き留めるようにしてきたが、先月後半から今月にかけて、どう
も筆が進まない。体調が悪いせいだ。体重が落ちてきている。ダイエットの成果と言えば聞こえは
いいが、別段ダイエットをしているわけではない。タケシの番組に、「きっとくるー、きっとくるー」と
いう音楽にあわせて、タレントを無理やり患者に仕立て上げる番組があるが、人事ではなさそう。
いちど健康診断に行かなくては。そう思って、なじみの連中に聞いてみるが、これまた不摂生の輩
の多いこと。この世界はそういうことなんだと結局は納得。
結局は納得
6月7日
屋台的アート
6月10日
この10日間に、日本と韓国を2度往復した。最初は16日にプサンに向けて出発。プサンから100km
あまり北に、韓国第3の都市・大邱がある。そこのMBCテレビ付属のギャラリーで、菊池孝さんが
個展を開いた。18日には日本に戻り、21日に再び今度はソウルに向けて出発。ソウルの仁寺洞(
インサドン)にあるキム・ジンヘ・ギャラリーで脇山さとみさんの個展が始まった。
この2つのギャラリー、一方は企業メセナでもう一方はプライベート・ギャラリー。性格はまったく
違う。テレビ局付属のギャラリーは、もうひとつの付属施設の映画館とともに、このテレビ局のシン
ボル的存在で、文化事業にどれだけ力を入れているかをアピールしている。展示面積もかなり広
く、ここで展覧会を希望する作家が後をたたないが、競争率はかなり高いと言う。菊池さんは、か
なりラッキーなほうで、たまたまここの前キューレーターが作品を見て、ぜひやってほしいと申し
込まれた。日本人の展覧会は初めてだという。ただ、日本から作品全部を持ち込むには、予算が
足りず、メセナの規模が小さいのは否めない。
一方、ソウルのプライベート・ギャラリー、キム・ジンヘ・ギャラリーは、私同様画廊主が体を張って
支えている画廊で、いちいち予算を組んで動くわけではない。画廊も作家も、いわば出たとこ勝負。
景気が一段と冷え込んだといわれる韓国だが、初日幸いにも数点売れた。
画廊主のキム・ジンヘさんは、もとKBSテレビのアナウンサーで、のちに文化事業部で多くのイベ
ントをプロデュースした。退職後はソウル市内の画廊でディレクターを10年勤めた。その豊富な
経験が画廊を支えている。
ともに韓国では新しいタイプのギャラリーだが、それぞれ一長一短。私にはいい勉強になった。
大邱からは、作品が売れたと言う報告は、まだない。
対照的な2つの画廊
6月25日
もう梅雨が明けたのかと思うほど、暑い日が続いている。今朝玄関先に、セミが裏返しになって
足をばたつかせていた。元気そうではなかった。捕まえて植木の幹にとまらせたが、羽ばたくわ
けでもなし、なくわけでもなし。周りを見るとわが家の壁に、4匹の抜け殻がくっついていた。梅雨
あけを勘違いして、あわてて土から出てきたのだろう。それはいいとしても、また雨の日が続くと
どうなるのだろう。本格的な梅雨明けにはまだ2週間はかかると思う。セミの寿命は驚くほど短
い。このセミがそれまで生きているだろうか。何年も土の中で辛抱してきたのに、出番が違うで
は、あまりにもかわいそう。いっせいに鳴きたてるセミはうるさくて仕方ないが、あれは伴侶を求
める重要なセレモニー。どうか生き長らえて、伴侶に恵まれますように。
出番を違えたセミ
6月26日