画廊主
   の
独り言

このページは、天野画廊の画廊主・天野和夫の、きわめて個人的な出来事を綴ったものです。
画廊の仕事が、一見個人的であるにもかかわらず、社会的な機能を果たしているありさまを、
おわかりいただけるかと思います。
自他ともに、プライバシーには慎重に配慮いたしますが、うっかりと逸脱している場合は、すみ
やかにお叱りのお言葉をお願い申し上げます。                天野画廊 天野和夫



お叱りのお言葉,ご意見など
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東京にはウオッチャ‐と呼ばれる人がいて、画廊に頻繁に出入りして、挙句にそのうちに評論家
としてデビューする人がいるそうだ。東京からきた若い作家から、そんな話を聞いた。普通に見
にくる人ではなく、コレクターでもない、要するにじっくり鑑賞する人のことらしい。なんてえこと
はない、昔から美術愛好家と呼ばれていた人たちだ。いまさらウォッチャーといっても、別

新しいものではないはず。それをあえて新しいものと言う根性が気に食わぬ。だいいち画廊に
何年か出入りしたくらいでいっぱしの評論家面してもらっては、たまったものではない。作家も
画廊も、実になめられたもんだ。いまや世の中全部サブカルチャーの時代。評論の世界も例
外ではないのかも。まあ、それを許しているのも、こちらに責任があるのかも知れない。かくし
て、私はますます頑固おやじにならざるを得ない。今日はちょっとテンションが高くなりすぎま
した。

くたばれウオッチャ‐

2004.07.04

京阪の淀屋橋駅から中之島の中央公会堂の前を通るのが私の通勤コース。駅とは川を挟んで
対岸まで行く間に、2本の橋がある。その2本目の橋の歩道部分に、くちなしの花が植えられて
いる。何年も通っているのについ2ヶ月前まで気がつかなかった。くちなしの花といえば、中年お
じさんの私には、「いまでは指輪も回るほど,(中略)くちなしの白い花、おまえのような花だった」
というカラオケの定番(確か、渡哲也が歌っていたと思う)でおなじみなのだが、それまでどんな
花か知らなかった。カラオケで歌っていても、どんな花か興味がなかった。そんなある日この橋
に植えられているのを発見したのだが、それは根元にあった「くちなし」と書いたプレートのおかげ
だった。
これがあの歌の花かとばかり、急に親しみを感じた私は、毎朝それをながめて通り過ぎるのが
楽しみになった。しかしこの花、枯れるのが早い。何十本もあるので、そのうち開花するよりしぼ
む花のほうが多くなった。梅雨に入る頃には、ほとんどくしゃくしゃになって見るも無残。歌にあ
るように、香りも嗅いで見たかったのだがそれもかなわない。そして、歌の本当の意味がやっと
わかった。

くちなしの花

2004.07.07

毎年京阪神の十数軒の画廊が集まって、「画廊の視点」という催しをやっている。各画廊から1
名の作家を出して展覧会をするのだが、今回ひょんなことでその事務局をおおせつかることに
なった。いままでお付き合いの気分で出していたものが、全体の面倒をみなくてはならないわ
けで、大変な変わりようだ。
おまけに、出展する画廊の出入りが結構あって、引き継いだ時点で、出展を確定している画廊
が7軒しかなかった。いわば、お先真っ暗で大役を引き継いだわけで、まずは昨年並みの12軒
を、なんとしてでも確保しなければならない。でないと、この催しの存亡がかかっている。
もともとこの催しは、「大阪アートフェア−」という名前で20年ほど前に発足した。商業ベースの
成功を視野に入れつつ、参加する画廊の諸事情や、大阪府の会場を使わせてもらう手前、各
画廊の負担金をかなり抑えて運営していた。そして10年目の記念展には、マイドームおおさか
で、一人前のアートフェア−らしく、ブースも作って、かなり派手なものになった。出費も相当な
ものだった。おりしもバブルがはじけ、思うようには売れなかった。一部の画廊の強力なリーダ
ーシップがあってのことだったが、この時期を境に、離反する画廊が続出した。私の画廊もそ
のひとつだった。
あわや、空中分解と思われたこの催しは、「画廊の視点」として蘇生した。名前が示すごとく、も
はや本格的な商業的アートフェア−を目指すメンバーは、そこにはなかった。〔続く〕

「画廊の視点」

2004.07.11

「画廊の視点」の会議があった。この時点までに参加を表明した14軒のうち13軒が出席した。
過去最高の出席率だ。議論も沸騰した。今までは日本の会社の株主総会のように、あっという
間に終わっていたが、今回は2時間あまりも続いた。今のままの展覧会ではいけないという危
機感を全員が持っていて、次々に新しい提案が出た。挙句のはてには、「画廊の視点」の名称
も変えてしまおうということになった。次の会議には新名称が決まる。カタログのデザインも一新
し、全面リニューアルでスタートする。さてどのように変貌するか乞うご期待。事務局を引き受け
ての初仕事。面白くなりそうだ。
考えてみれば、この催しも10年経った。世の中の移り変わりから遊離していたのだろう。変わる
のは必然かもしれない。

変貌する「画廊の視点」

2004.07.15

8月分
2004年6月分

2004年7月

10月分
9月分
11月分
12月分
2005年