2006年1-12月分

このページは、天野画廊の画廊主・天野和夫の、きわめて個人的な出来事を綴ったものです。
画廊の仕事が、一見個人的であるにもかかわらず、社会的な機能を果たしているありさまを、
おわかりいただけるかと思います。
自他ともに、プライバシーには慎重に配慮いたしますが、うっかりと逸脱している場合は、すみ
やかにお叱りのお言葉をお願い申し上げます。                天野画廊 天野和夫

画廊主
   の
独り言
お叱りのお言葉,ご意見など
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2007年3月

2004年6-12月分
2005年1-12月分
2007年1月分
2月分

大阪・アート・カレイドスコープ2007のオープニングに出席した。会場は、備後町にある綿業会館
のホール。1931年に建てられたビルで、国の重要文化財にも指定されているという興味もあって
でかけた。谷町の現代美術センターがメインの会場だが、オープニングを歴史的建造物の中で
する理由は、今回の展覧会が、かつて「大大阪」と呼ばれたノスタルジーを下敷きにしていること
にある。総合プロデューサーは北川フラム氏。主催は、大阪府立現代美術センターだが、実質的
には、大阪府直轄の催事だ。内容については、別の機会に触れるとして、今は2点だけ感じたこと
を書きとどめる。
展覧会のタイトルは、「大大阪にあいたい。」。大正から昭和初期にかけて、一時東京をしのぐ勢
いのあった大阪を、今一度実現したいという願いのこもったタイトルだ。だが、この英訳は、Looking
for the Greater Osaka となっている。これは、「より強大な大阪をさがす」というだけのことで、直訳
には違いないが、私はあえて誤訳といいたい。なぜなら、かつての「大大阪」へのノスタルジーを踏
台にしてステップアップをはかりたいという意味が、ない。カタログによれば、翻訳は、クリストファー・
スティヴンズとなっている。英語として正しいことが、英訳としても正しいことにはならない例だ。おそ
らく原因は、主催者が捕らえている「大大阪」のイメージを、訳者に伝えきれなかったのだと思う。
もう一つ。
実質的には、大阪府直轄の催事であるにもかかわらず、府知事の臨席が無かった。この種のセレ
モニーに首長がいるかいないかは、大きな問題で、それは直ちにこの催事の重要度を反映するこ
とになる。大阪府知事が文化に関心が無いというのは、大阪では有名な話で、私も承知しているが
だから臨席がなくてもよいということにはならない。府の文化部長が壇上で挨拶をされたが、知事に
代わってという文言は無かった。まさに大阪の現状ここにあり。

カレイドスコープ2007
のオープニングで感じ
たこと


3月1日

おふくろさん騒動が収まりそうにない。単純な問題なので、すぐに決着がつくかと思いきや、いまは
感情論に移行してしまった感がある。問題は、おふくろさんの冒頭に、あとから加えられた語りとメ
ロディー、これが作詞家の川内康範氏に、「俺の作品じゃない」と」怒らせたのが発端。
この冒頭部分は、オリジナルを作曲した猪俣公章氏の作曲で、保富康午氏が詩をつけた。両氏と
もすでに他界しているので、当時の事情を聞くことは出来ない。だが、20年も歌われてきたこの改
編版が、なぜ今になって問題化したのか、私にはわからない。
しかも、この部分の作曲家と作詞家には触れないで、歌手の森進一にいきなり噛み付いたわけだ
から、なおさらわからない。
著作権の問題を問うなら、改変版を「おふくろさん」とは認めない、と主張することからはじめるべき
だろう。だから決着がつくまで、改変版は歌唱禁止という仮処分という二段構えになるはずだ。
ただ、オリジナルも改変版も、作曲が猪俣公章氏なので、話はややこしい。
私は、とりたてて森進一を弁護するわけではない。純粋に著作権の問題として、事の成り行きを見
守っていきたい。少なからず私の仕事にも関係するからだ。

「おふくろさん」騒動

3月14日

カレイドスコープ2007
その2


3月15日

メイン会場の現代美術センターを見た。美術作品の展示というよりは、総合インフォメーションセン
ターといった感じだ。床に、戦前の大阪の巨大な航空写真が敷き詰められていた。黒く塗りつぶした
ところが数ヶ所あって、それらは軍事施設という説明があった。戦前の大阪の市内観光をPRしたフイ
ルムとガスビルが竣工するまでの記録フイルムもみた。なるほど大阪には活気があったのだと感心
した。主催者のねらいにずっぽりはまった自分を感じた。思わず苦笑いをする。
市内に点在する展示会場に足を運んだ。北浜の証券取引場のビルには、今回イタリアから招聘した
パブリック・アーティストのフェリチェ・ヴァリーニの巨大な作品がある。そのあと、伏見町の芝川ビル
に回った。このビルは1927年に建てられたもので、玄関から一歩足を踏み入れたとたんに、タイム
スリップを覚える。ゆったりと落ち着いた空間は、確かに別世界だ。

ヴァリーニの作品

芝川ビル

エントランスの
山崎龍一の作品

地下の武内貴子の作品

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