2006年1-12月分

このページは、天野画廊の画廊主・天野和夫の、きわめて個人的な出来事を綴ったものです。
画廊の仕事が、一見個人的であるにもかかわらず、社会的な機能を果たしているありさまを、
おわかりいただけるかと思います。
自他ともに、プライバシーには慎重に配慮いたしますが、うっかりと逸脱している場合は、すみ
やかにお叱りのお言葉をお願い申し上げます。                天野画廊 天野和夫

画廊主
   の
独り言
お叱りのお言葉,ご意見など
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2007年2月

2004年6-12月分
2005年1-12月分
2007年1月分

仕事柄、知人の展覧会を見る機会が多い。見る理由はいろいろある。この世界のお付き合い
だから。みんなが注目している作家だから。私の画廊を離れて行った作家の、その後の仕事
を見たいから。新しい作家を探したいから。などなど。実際には、いくつも理由が重なっている
場合が多い。

見に行って、満足する
こともあれば、逆にがっ
かりすることもある。
どんな作家か知らない
が人に奨められて見に
行ったときとか、作家自
身が自己PRで何度も私
の画廊に来てくれて、い
よいよ個展だからという
ので、見に出かけたとき
とかは、正直言って、がっ
かりして帰ってくることが
多い。
断片的な情報を、私自身
がつなぎ合わせて、自分

なりのイメージを持って見に行く時は、それなりに時間をかけて作品を見るし、作品の出来・不出
来に関係なく、満足感が得られる。もちろんそれで作品がよかったら、自分の目が「的中」したわ
けだから最高だ。今日見たのは、ギャラリーOU(ウー)で開催中の黒木ちえ展。よく知っている画
家のお弟子さんなので、何度も会ったことがあるが、作品を見るのははじめて。本人も初個展だ
という。
案内状をもらったときは、昔流行ったリリシズムを連想した。少々古臭いスタイルだが、まじめに
描いている様子がうかがえたので、好感をもって見に行った。
見に行って驚いたのは、絵の中の楕円形のイメージが、豚を描いていることだった。案内状の写
真では、細部までよくわからないから、なにか丸いものとしかおもっていなかったのだが...

絵の中の豚は、ほどほど
具象的で、ほどほど抽象
的だった。
色使いも丁寧できれい。
絵の具もしっかりと塗り込
められていて、落ち着いた
マチエールができている。
油絵としては正統派だ。
だが私は、こんな豚の絵
を見たのは、はじめて。
絵の技法は正統派だが、
このモチーフの扱いは、か
なり大胆だ。
今は具象復活の時代だと
言う。昨年のおわりごろに
国立国際美術館で、「エセ
ンシャル・ペインティング」
という展覧会があった。海
外の具象復活を紹介する
展覧会だったが、正直なと
ころ、ぴんとこなかった。
だが、この豚の絵なら、よ
くわかる。これからの仕事
にも、期待が持てそうな気
がした。

豚の絵に満足

2月3日

今日は建国記念日の振り替え休日、朝10時過ぎの電車には、休日出勤のサラリーマンに混じって
主婦や学生など、顔ぶれが普段の出勤風景とはちょっと違う。私がつり革を持っているすぐ目前は
8人がけの長いシート。左端に男性が2人、それぞれ産経新聞とスポーツ紙を広げている。右端に
は若い男性が、耳にイヤホンをして回りには関係のない顔をしている。その両端にはさまれて、女
性が5人、推定年代が20代から50代まで
まるで順番に並んでいるように見えた。学生、普通の主
婦、OL、中年セレブなど多種多様。学生とOLは特徴的で、すぐに見分けがつく。主婦と中年セレブ
は、ちょっと観察の時間が必要。主婦の顔つきはどこかたるんでいて、セレブは目つきがクール。
主婦の服装は、同系色でまとめるか、逆に、ちぐはぐのミスマッチな色の取り合わせが多い。セレブ
は、さりげなく自分のセンスを主張するかのように、うまくまとめている。
前置きが長くなったが、一通り観察して私が注目したのは、そのセレブと思われる婦人。なんと5cm
以上はあるかという厚みのコミック誌を堂々と読んでいる。しばらくしてそのコミック誌を閉じたときに
表紙の右肩に、「主婦の・・・」という文字が見えたので、「えっ!主婦向けのコミック誌ってあるのか」

と、びっくりしたさすがに裸でその本を持っているのではなくて、紙袋をのなかにゆっくりと入れは
じめたのだが、さらにびっくりしたのは、同じサイズのコミック誌が、すでにその紙袋の中にあったの
だ。紙袋は、当然パンパンに膨れ上がったが、またまた驚いたのは、もともと紙袋の中には、同じ厚
みのコミック誌に加え、週刊誌程度の厚みの別のコミック誌が入っていて、今度はそれを取り出し
たのだ。これで都合3冊になる。その薄い本は、「・・・を見つめて」のような、闘病記を思わせるような
タイトルがついていた。
ひょっとして、この人は読者じゃなくて、編集者なのかも知れない。聞いてみたいなと思っていると、
電車は駅に着いてしまった。

電車内の世相

2月12日

小野寺 聡 のライブ
ペインティングを見た


2月17日

ときは2月17日土曜日、夕方6時から、北区堂山町のカフェバー・ウーニーポンポンカウカウの
個展会場で、小野寺聡が、初のライブペインティングを披露した。背景を水彩で描いたあと、大
小の木版を刷り重ねてイメージをつくりあげる。約1時間半の間、見る者との会話をはさみなが
らの、おだやかなライブだった。本人の予想よりも、少し早い目に仕上がって、筆をおくタイミン
グをはかりかねる作者に、誰ともなく、「もう出来た。」 周りはあたたかかった。

ブッシュ大統領が、イランの空爆を計画しているというニュースを、数日前に聞いた。イラクの
内戦状態を裏で操っているのがイランだから、というのがその理由らしい。
40年以上も前に、アメリカはベトナムで解放戦線の掃討に手を焼いた挙句、北ベトナムへの
空爆に踏み切った。解放戦線を指揮しているのは、北ベトナムだというのがその理由だった。
しかし、結果はアメリカ軍が敗退、1975年にベトナム戦争は終結した。アメリカは、また同じ
過ちを繰り返そうとしているのか。
昨日のニュースでは、イギリスはイラクへ派兵を、徐々に削減する方針を出した。イラクでの
勝利が望めなくなった今、アメリカの方針転換に歩調を合わせたのだろう。
さて、イラクでタクシーがわりに駆り出されている日本の航空自衛隊は、どうするのだろう。こ
のままずっと、バカのひとつおぼえみたいに、ひたすらクエートとイラクの間の飛行機を飛ば
しつづけるのだろうか。黙ってないで何か言えよ!日本の政治家諸君!

イラクへの空爆は
いつか来た道


2月22日

東京市場で株が暴落した。前日の上海での暴落が、ヨーロッパ・アメリカでの暴落をひきおこし
一巡したものだが、とうとうきたかと思う。35年前の日本のバブル崩壊を思い出した。
今日の上海市場は、やや落ち着いているらしいが、遅かれ早かれ、バブルがはじけるのを避け
ることはできない。いまや中国は、完全に資本主義の国で、中国共産党のいかなる強権を持っ
てしても、バブル崩壊を避けることは出来ない。アジアの枠を越えて、世界の覇権を狙うかのよ
うな中国の国家戦略は、バブル経済に支えられたものであると、中国の指導者は認識すべき
だと思う。同時にその国家戦略は、かつて毛沢東の時代に、「アメリカ帝国主義」と呼んでさげす
んでいたものと同質のものであると、認めるべきだ。
それにしても、いかなる政治的プロパガンダも、歴史の真実の前では無力であることだけは、信
じるに値する。

中国バブル崩壊か

2月28日

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