大草肇さんの作品は具象画のカテゴリーです。基本的に日本画ですから、油彩画における遠近法は、はなから考慮にありません。その意味では村上隆のスーパーフラットと同じ延長上にあるともいえるでしょう。決して村上ほどポップではありませんが、ほとんど抽象とも思える画面の分割には、工夫のあとが窺がえます。数年前まで風景を描いていたそうですが、人物を描くようになってまだ数年。魅力は、やはり、物語性だといいます。ミニマルアート全盛期以降、物語性を排除するのが現代美術のプロパティだとする認識が、いまだに多数を占めていますが、それがゆえに現代美術がつまらなくなったのも事実です。物語をめぐって、もう一段高みで論証する余地があると思われます。
 具象とは言っても写実ではない大草さんの作品には、やさしさのようなものがあって、見る人に安らぎを与えるようです。不安や主張に満ちたものが現代美術だというなら、現代美術ではないかもしれません。しかしながら自らの呪縛を解き放つのも現代美術の一面でしょう。その手堅さを感じさせる作品でもあります。  
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大草 肇 展

大草 肇(1945-) おおくさ・はじむ
1945 大阪府出身
1968 京都市立芸術大学日本画科卒業

Oct.23-28, 2017

降りてきた女  岩彩 25F

室内  岩彩 8F

太陽のかけら  岩彩 20F

昨夜  岩彩 30F

香り  岩彩 6F

陽ざし  岩彩 15F

明け方  岩彩 50F

20世紀から  岩彩 50F

満ちる  岩彩 30F

いきさつの周辺(風の女)  岩彩 120F

copyright:amanogallery,osaka 2017

間  岩彩 15F